第120回 命を引き受けるということ

 先日、知人を通じて生後2ヵ月ほどのノラの子猫を引き取りました。

 納屋で生まれて困っている方からの譲渡で、2ヵ月になるまで人の手に触れられていないとのこと。

 先様でやっとのことで移動用ケージに入りましたが、自宅では大きなケージに入れる際に脱走、家具の裏に隠れてしばらく出てきませんでした。少しでも近づくと威嚇され、触ろうとするとひっかかれ、わが家で受け入れたノラ猫歴代最強と思われました。

 本来は9週までに人の手に触れていれば慣れる可能性が大きいと言われているのですが…。

 これまでも何度か縁があってノラ猫を家に招くことがあり、最後までお世話することができました。

 最後の猫が亡くなって1年数ヶ月、ペットロスも癒えてきたので再度ノラ猫を迎え入れようと思案しました。

 関心を持ったのは最近TVなどで話題に上る「譲渡会」です。ですが、これがなかなかのツワモノでした。

 飼い主になるためにはクリアしなければならないNG項目がたくさんあるようです。

 以下は知人に聞いた事やwebからの情報です。

 ─独身、借家、家族に小さな子供がいる、60歳以上、8時間以上の放置、自家用車が無いなどなど。

 なるほど。これらは理解できます。

 ●独身の方は病気・旅行の際には他に世話する人がいない。

 ●借家は犬・猫に合わせたリフォームができない(制約が多い)。

 ●小さな子どもの突発的な言動は犬・猫のストレスにしかなりません。

 ●通常、犬・猫ともに重大な病気をしなければ12~13年はいきるもの。飼い主は60歳で飼い始めても70歳を越え、身体が自由にならなくなったり、病気になる確率は高まります。

 ●8時間以上の放置、これは食事とトイレ、ケガや突発的な病気の問題でしょうか。

 ●自家用車がなければ、犬・猫を病院まで運ぶことができません。

 どれも理屈には合っています。

 譲渡会ではこれらのNG項目で飼い主候補がふるいにかけられるようです。

 他にも飼育放棄等に至った原因が判明した場合には、NG項目がさらに増えることは想像できます。

 興味のある方は「譲渡会 評判」などのワードで検索されるとよいと思います。モニター画面には信じがたいNG項目がたくさん表示されることでしょう。

 ノラに限らずペットを飼うというのはこんなにハードルが高かったのですね。

 犬・猫の保護団体の多くがこのような譲渡の方針であるとは思えませんが、飼い主候補のそれぞれの事情に配慮することなく、たくさんのNG項目でふるいにかける方法にはまったく賛同できません。あくまで個人的な感情的な意見ですが、お世話できなくなった時には、自身の責任で解決する。私(家庭)はそれくらいの器量は持ち合わせていると考えます。

 ですので、個人からの譲渡を選んだわけです。近所でノラを保護して困っている方はたくさんいます。

 歴代最強に手強いと思われた子猫は、最初の1ヵ月をほとんどケージの中で過ごしましたが、今では家中を走り回り物品を破壊し「撫でてくれ」「ごはんくれ」「遊べ」と鳴き・すり寄り、ついにはわが家のヒエラルキーの頂点に君臨する何者かになってしまいました。

 めでたしめでたし。

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