こんにちは!営業部の新人Uです。
私が担当するのは今回を入れて3回目ということになります。前回、前々回よりも良いものが書けるよう頑張っていきますので、最後までどうぞよろしくお願いします。
今回は第9話で紹介されなかった方(というと語弊がありますが…)の印刷方法をご紹介したいと思います。お菓子の袋を印刷する際によく使われる印刷方法は、グラビア印刷と…
オフセット印刷ですよね。というわけで今回は『オフセット印刷』です!
「オフセット印刷の前に版式の話・・・」
版式とは、インクを紙に移す版の形態を指します。オフセット印刷で使う「版」は「平版(へいはん)」という、凹凸がほとんどない印刷版を使っています。凹凸がほとんどないから平版。ストレートなネーミングですよね。
この版上に親油性の部分と親水性の部分を作り、水で湿らせます。水は油性インクをはじき、親油性のある部分だけにインクがのるため、そこに紙を押し当てて印刷します。水と油とが反撥し合うという性質をうまく利用した方法ですよね。
「オフセット」=「OFF SET」
この辺りでオフセット印刷の最大の特徴にしてその名前の由来にもなっている特徴をご説明します。オフセット印刷は、この印刷版にのったインクを紙に直接押し付けて印刷する「のではなく」、樹脂やゴムでできた「ブランケット」に転写(OFF SET)し、それを紙に押し付けて印刷する技法なのです。
では、なぜわざわざそんな工程をひとつ挟んで印刷をするのでしょうか?
版と紙が直接触れないこと=版が長持ちする
通常紙と版は直接触れ合いますから、版は少しずつ摩耗していきます。摩耗が進むと鮮明な印刷ができなくなっていき、もう一度版をつくらなければならなくなります。
オフセット印刷はインクを紙に押し付ける前に一旦ブランケットに転写することは既にご説明しましたが、ブランケットを介することで版の摩耗を最小限に抑えることができ、版の寿命を延ばすと共に印刷のスピードも上げることができるのです。
オフセット印刷が得意なこと
実はオフセット印刷自体は現在の印刷方法として広く普及していて、紙などの商業印刷の主流といっていい方法です。お菓子の袋以外にもチラシやポスター、本や名刺など様々なものの印刷に使われているので、ある意味皆さんが普段から1番目にしているものかもしれません。
そんなオフセット印刷の得意なことを以下に挙げていきます。
- 大部数の印刷が得意・・・1度版を作ってしまえばあとは印刷するだけです。持ち味である印刷スピードを活かして大量の印刷物を作成できます。
- カラーの印刷が得意・・・彩りの豊かなイラストや、文字を組み合わせた印刷も綺麗に印刷できます。グラビア印刷もカラーは得意ですが、紙に対しての印刷だと掠れてしまうこともあります。その点、オフセット印刷は掠れることなく印刷することができます。
得意なことばかり挙げているのはなんだかズルい気もするので…苦手も挙げていきますね。
オフセット印刷が苦手なこと
- 初期費用を抑えることが苦手・・・版を作成して行う印刷方式は全てそうなので、オフセット印刷だけのデメリットではないのですが、印刷代の他に版代がかかってしまいます。工程上これを避けることはできません。
ちなみに使っている素材から全然違うので当たり前といえば当たり前なのですが、オフセット印刷の版代はグラビア印刷のそれと比べると桁違いに安いです。ただ、ここも一長一短なのです。
グラビア印刷の版は耐久性に優れていて、多くの場合1度作った版を数年置いておいて使いまわすことができます。一方オフセット印刷の方のそれは印刷が終わると廃棄することが多く、後日全く同じ内容の印刷物をつくることになったとしてもまた版をつくるという使い方が多いのです。
初期費用という意味ではグラビア印刷はちょっと勇気が要るところがありますが、その代わりに「しばらく版代がかからない」と考えることもできますね。
- 少部数の印刷が苦手・・・長所の裏側には短所があったり…というわけで、グラビア印刷ほどでないとはいえ少部数は苦手としています。もちろん印刷ができないわけではないのですが、印刷物は基本的にたくさん印刷した方が単価は下がります。せっかくお金をかけてつくった版なのですから、たくさん使った方が得ですよね。長持ちもしますし。
ちょっと余談ですが…オンデマンド印刷について
オフセット印刷もグラビア印刷も、版を作成する印刷方法は「版代がかかる」。これを避けるためには違う印刷方法を選択するしかありません。
そこで登場するのが版代のかからない、というより「版を作らなくても印刷できる」オンデマンド印刷という方法です。イメージとしてはオフィスに置いてあるプリンターをものすごく高性能にしたものを思い浮かべていただければと思います。察しの良い方はもうお気づきかと思うのですが、「オンデマンド印刷」は大部数の印刷が苦手なんですよね…。特にグラビア印刷が得意としているほどの量の印刷をしようとするととんでもなく割高になります。
いかがだったでしょうか。なかなか全てを兼ね備えた弱点の無い印刷方法というものはなくて、どの方法にも得意なことと苦手なことがあります。それはある意味、個性といえるかもしれません。
その個性を専門的な目で見るためにはやはり知識と経験が必要です。印刷もどんどん新しい技術が生まれていますので、けして立ち止まらず遮二無二追いかけて、先輩たちのようになりたいと思います。
…と、強めの言葉で締めくくったこの辺りでそろそろ失礼いたします。
次回はその先輩の回です。深い~話にご期待ください!