第29話 覚えておこう!紙の目

こんにちは!「印刷物のちょっと深~い話」第29話を担当させていただきます、新人営業マンのYです。なんやかんやで29話の印刷物の深~い話、もう少しで30話になりますね!日々勉強の中で他の営業マンのブログは自分にとって読むのを楽しみにしていますし、勉強にもなります。
今回もどうぞ最後までお付き合いいただければと思います。

いきなりですが皆さん、紙には「紙の目」「流れ目」が存在するのは知っていますか?

印刷会社などで働いている方や紙に関わるお仕事をされている方からすれば、普段から聞き慣れているのではないかと思いますが、一般の方では知らない方も多いのではと思います。私も印刷会社で働くまでは全く知らなかったですし、考えた事もなかったです。

紙の目とは

紙の目(かみのめ)とは、紙の繊維が流れている向きの事です。紙目(かみめ)、流れ目(ながれめ)とも呼びます。T目・Y目とかよく目にしますよね~。

紙はパルプなどの原料と水を混ぜ合わせ、製造機の中を流れて作られます。この時、紙が流れていく方向に向かって繊維が揃うため、紙には繊維の流れている向き(紙の目)が生じます。
しかし、普段私たちが使用している紙を見ても繊維の流れなんてわからないですし、「向きなんてどっちでもいいでしょ」と思うかもしれませんが、実は印刷物の作成において紙の目というものはとても重要ですのでぜひ名前だけでも覚えて帰ってください。※できれば内容も(^^;)今回は紙の目について少し掘り下げてお話していこうと思います。

紙の目はどのようにできるのか

まず紙の目はどのようにしてできるのかについて話していきます。
紙を製造する際はひとつのライン上で製造されたものが一度巻き取られロール状となります。巻き取られたロールの状態では常に紙の目の方向は一定ですが、シート状(平判)に紙を切る時に縦か横どちらの向きでカットするかによって縦目と横目という紙の目の違いが生じます。

縦目(T目)・横目(Y目)について

※縦目はT目・横目はY目と表記されることが多い

縦目(T目)とは、全紙の長辺に対して平行に繊維が流れている向きのことを指します。寸法の表記は「短辺×長辺」で表します。
(例)四六全判であれば788×1091と表記します。

横目(Y目)とは、全紙の短辺に対して平行に繊維が流れている向きのことになります。寸法の表記は「長辺×短辺」で表します。
(例)四六全判であれば1091×788と表記します。

縦目(T目)横目(Y目)T目は長辺に対して平行
Y目は短辺に対して平行
縦目(T目)横目(Y目)

紙の目の特徴と見分け方

紙は紙目の向きによって強度・破れ易さや破りやすい方向、反り具合、折りやすさが変わるという特徴があります。この特徴を生かして紙を反らしたり、破いたりすると見分けることができます。

  • 流れ目に沿ったほうが折り曲げやすい
  • 流れ目に沿ったほうが裂けやすい
  • 湿気を吸収したとき流れ目の方向には伸びにくい

ちなみにアイキャッチ画像の紙はギザギザに破れているので逆目で破った様子です。

紙の目の使い分け

紙の目を縦目にするか横目にするかで印刷や製本に影響を与え、紙の目を使い分けることでより質の高い印刷物作成につながります。紙の目により印刷機に紙が通りやすい方向が存在し、紙の目によって加工しやすい方向もあります。

例えば二つ折りのパンフレットを作成する場合、折り加工の際に折と繊維の流れが同じ向きだと綺麗に折ることができます。逆に折り方向に向かって紙の目が反対である場合は繊維の流れに逆らっているので、折った部分が綺麗に折れずシワや割れなどが起きやすくなります。

紙目に対して折る方向が一致している場合を順目(じゅんめ)、逆の場合を逆目(さかめ)と呼びます。

他にも書籍などでも紙の目は重要であり、背に対して平行な目、天地方向に目(繊維)が向いている用紙を使用します。これは折り加工でより加工しやすくなるということもありますが、紙目が上下方向になっていると、書籍のページをめくる際にめくりやすくなるという点もあげられます。

このように紙の目は印刷の基礎ですが、印刷や加工においてとても重要な項目であり、印刷物作成時に注意すべき点でもあります。紙の目の重要さが身に染みて分かったところで今回はこの辺で締めさせていただきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。次回の深~い話もお楽しみに!!

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