第42回 互換性問題

近年のコンピュータ関連の進化速度は非常に早く、驚くばかりです。

弊社ではデータ制作のメインPCに、Mac(マック)を使用しています。このMacのOS(オペレーティングシステム)が現在ではMacOSX(10)なのですが、以前のMacOS9から大幅に変更され、ベースがUNIXベースとなり、互換性がなくなってしまいました。(Windowsでいえば、XPからVista、7というような事です。)

そこでMacOSXはClassic(クラシック)という、X上で9を動かす環境が付属していました。Classic上ではMacOS9そのものをインストールして動かすので、9に対応したアプリケーションが使用できていました。けれども、2006年に発売されました、Intel搭載MacではClassic環境がサポートされていないので、MacOS10.5からはサポートも終了し、完全に廃止となりました。

こういった経緯があったMacPCですが、この移行によって様々な影響がありました。バージョン間の互換性という壁は印刷業者にとって非常に敏感な部分で、少しの変化も許されない印刷物の世界で、再版修正作業等は過去のデータを同じ環境で開かなければ、どこかに変化が生じてしまう危険と隣合わせでした。ソフトによってはバージョン違いやフォントなし等を表示してくれるものもあるのですが、さらにソフトの互換性バグ等が重なったりすると原因不明のエラーが勝手に出たりします。

では主にどういう点が問題になるかといいますと、周辺機器の使用するためのドライバやネットワークへの接続、データの共有等がありますが、一番シビアな部分は、文字情報です。文字(フォント)はその1つの文字に、形、大きさ、文字幅、縦横比率、文字詰め、カーニング等多くの情報が1つ1つに入っています。OS9で使える文字と、OSXで使える文字が違いますので、その文字情報そのものが変わってしまい、レイアウトが崩れてしまうのです。

また、印刷用として使用するプリンタや製版機はスピードと繊細さ、正確さが必要でしたので、プリンタ自身にフォントを入れて出力する形がとられていたのですが、OSXから標準仕様となりました、OpenTypeFontでは、プリンタフォントがなくても高繊細出力ができますので、出力機の扱い方も変わってきました。

僅かな変化が致命的なミスになる印刷物において、バージョンアップやダウンの互換性にはまだまだ悩まされそうです。ただ、新たなる発展への犠牲となる部分は少なからずあるとは思いますので、できるだけスムーズに対応し、お客様にも新しい環境を勧めていければと思います。

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