さて、前回は紙の種類の中でも、一般紙について書きましたが、紙にこだわった印刷物に使われる、特殊紙について書きたいと思います。
特殊紙と一言で言いましても、この種類は一概にここまでとは言えず、一般紙に対しての特殊紙という位置づけですので、メーカーによっても様々です。原料、質感、模様、装飾、塗工剤など、いろいろな方法で作られ、様々な種類があります。
一般紙での印刷物はその紙面のデザインや加工方法での表現がメインになり、印刷することにより新たな表現を持つようになりますが、それに対して特殊紙は紙そのものにさまざまな色や模様、柄、風合いなどがあり、それぞれが独特な特徴ある表情を持っているので、紙そのままを活かしていろいろな用途に活用できますし、紙だけでのインパクトも与えることができます。
用途も多種多様ですが、主に本の表紙、扉、見返し、カバー、パンフレット、ラベル、グリーティングカード、案内状、カタログ、ダイレクトメール、メニュー、パッケージ、高級包装用途、イベントでのPR用紙などがあり、幅広く使われています。他商品との差別化が図れることがメリットだと思います。
しかし、特殊用途向けの特殊機能を持ち、汎用性に乏しい割には種類もあまりにも多く、メーカー間の品質競争、開発競争が激しい反面、比較的ライフサイクルが短いので、人気のない紙など、メーカーの事情によりいつのまにか廃止になっていたりします。また一般紙に比べると価格も高く、流通や量によってかなりの差があります。私的な思いでは、ほとんど見た目同じ紙なのに、価格が倍になったりするので、驚いて疑問に思う事が多々あります。
特に現在のように紙の価格が上がっている時などは、いつの間にか特殊紙もそれぞれ価格が変動しますし、新しい紙が発売されたと思えば、売れない紙はなくなっているなど、見本帳もころころ変わり、印刷屋の営業としては、中々泣かせられるものです。けれどもできるだけ多くの紙を見て、触って、特徴をつかみ、お客様への提案材料にしていければと思います。