第21回 画像形式

さて、近頃は印刷・加工についての内容が続きましたので、今回はデータの上での画像形式について書きたいと思います。

データを制作する上で欠かせないのがDTPソフトです。このDTPソフトには様々な特徴がありますが、主に扱う画像形式が2つあります。

1つはラスタ形式。ビットマップ形式ともいいますが、画像を、色のついた点(ドット)で表現したデータです。分かりやすくいうと、単純に左上から「赤」「赤」「青」「黄」「赤」等のように、羅列した色情報を持っています。
デジタルカメラで解像度を一番低くして撮った写真を、拡大すると、四角いピクセルが見えてくるのを見たことがある人もいるかもしれませんが、どこの場所が何色という情報で画像を表現する形式です。そのため、拡大を行なうと輪郭にジャギ(ギザギザ)が現れたり、縮小すると情報が失われたりするなど、拡大・縮小・変形などに適しません。複雑な色情報を持つ写真等に適しています。OSについている簡単な写真編集ソフト等はラスタ形式を扱うソフトが多いです。代表的なソフトに、Adobe Photoshopがあります。

もう一つは、ベクタ形式といいます。ドロー形式ともいいますが、ベジェ曲線、スプライン曲線で描かれた画像で、点の座標とそれを結ぶ線や面の方程式のパラメータ、および、塗りつぶしや特殊効果などの描画情報の集合として表現されたデータです。
分かりやすくいうと、数学で習った、放物線を計算式で表すような感じです。ベクタ形式の画像は表示する度、計算を行なって画像を再現するので、画像を拡大・縮小したり変形したりしても、輪郭の処理などがその度に行なわれて、解像度に見合った画質が維持されます。線や面の輪郭がはっきりした、人工的な画像(イラストや図面等)を作成する場合に適しています。
コンピュータで表わされる文字(フォント)データも昔はビットマップフォントでしたが、今ではアウトラインフォントが主流ですので、どれだけ拡大してもきれいなラインが保たれていると思います。代表的なソフトに、Adobe Illustratorがあります。

ラスタ形式は点(ドット)の羅列データですので、点が多く(細かく)なればなるほどデータサイズは大きくなります。つまり解像度がデータサイズに影響します。ベクタ形式は計算式で表現しますので、基本的にはラスタ形式よりもデータサイズは小さくなりますが、非常に細かい点と線を描くと膨大な量の計算式になり、データサイズが大きくなります。

このように2つの画像形式には大きな特徴があり、それぞれに適した方法で利用されています。お客様から頂いたデータがどちらの形式なのか、それを利用する上での対応をしていけたらと思います。

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