第11回 再生紙

再生紙という言葉は皆さんご存知だと思いますが、最近この再生紙についての見解が大きく変化しつつあります。

再生紙とは、原料に古紙を配合して製造された紙のことです。しかし、配合率等の明確な定義はまだありません。古紙が1%の配合でも再生紙と言うことはできますが、エコマークを取るためには70%以上の配合率が必要です。またグリーン購入法によっても古紙配合率70%以上が推奨されています。

市中で回収された古紙が再生されるまでには、脱墨、漂白、加熱、乾燥などの過程を経るため、数回再生利用すると繊維が細かくなり弱くなって、再生することができなくなります。紙のライフサイクルを考えると、全ての紙を平均して古紙の最大配合割合は60~70%が最適で、残りは新しい原料でまかなう必要があります。つまり、供給する紙をすべて古紙だけで作ることはできないのです。そして古紙の品質低下により、歩留まりが低下しています。

しかも、古紙100%配合紙は全く配合していない紙に比べ、製造工程で化石燃料由来のCO2排出量が増加するケースがあり、再生紙が地球温暖化に与える影響が大きくなっています。

これらの事から、すべての紙製品に古紙100%を求めることが、本当の意味で環境にやさしいと言えないことは明らかという見解が強まりました。

こうした事から製紙メーカーの中でも、古紙100%配合紙は原則廃止し、用途に応じて配合率を最適化するなど、製品ラインナップを再編している所もあります。

印刷業者として、今まで古紙配合率100%を追求していたのは何だったのかとも思いますが、少しずつでも環境により良い方向に進んで行くことは良い事ですし、早く、広くそのリサイクル紙が世の中に出回ってくれたらと願います。

資源を大切に使う、その気持ちを全員が少しでも考えて、これからも持ち続けていけたらいいなと思います。

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