先月京都同友会の新春講演会がありました。講師は「デフレの正体」という本でも有名な、藻谷浩介氏でした。友人から非常に面白い考え方や話し方をする人だと聞いていたのでとても楽しみに聞いていました。その話通り、のっけから突拍子もない色々な質問を投げかけて、会場を沸かせていました。
そんなやり取りをしながら非常に興味深い話を聞くことが出来ました。
とても面白い内容で衝撃的だったのですが、ひとまず自分の中で簡単に整理しますと、マスコミや自然に入ってくる情報に踊らされてはいけないというお話しでした。改めて藻谷講師の色々な題材を聞いていると、間違った情報の中に自分が埋もれていることを実感しました。
自民党政権になって、円安が続いています。メディアはとても良いことのように報道していますが、今の日本の現状で円安というのは非常に危険だということです。
昨年、ニュースで日本の輸出入額がついに貿易赤字になったと聞きました。聞いた時の印象で、日本の経済がやばいかもという印象を受けていました。家電メーカーが次々と経営不振になっているとか、国際競争力が落ちているとか、日々のニュースでも心配になることばかりが報道されています。会場でもそう思っていた人が多くいました。だからこそ安倍政権の経済政策に対する期待感からの円安やインフレが起きる報道に喜んでいました。
しかし、藻谷氏が言うには、(以下インターネットより抜粋)
「日本は今年、年換算6兆円以上の貿易赤字になっています。1ドル=80円前後でこの数字だったのですから、1ドル=100円の円安であれば、原油・ガスの輸入代が高騰し、赤字は20兆円を超えていたでしょう。昨年は金利配当の黒字14兆円で貿易赤字2兆円をカバーできたのですが、円安になればそれでは足りず、日本は経常収支赤字国になってしまう。新規国債の消化に支障が出て金利が上昇し、ハイパーインフレや金融セクターの崩壊を招く恐れもあります。」(藻谷氏)
目を向けるべきは、貿易赤字の理由であり、国際収支統計を見ると、輸出は微減なのに対し、原発事故以降、輸入が大幅に増えていることが分かる。
「貿易赤字の原因が、円高による輸出減ではなく、化石燃料価格の高騰による輸入増なのは明白です。お隣の韓国では、ウォン安で原油購入代がかさんでガソリン代などが値上がりし、国民の不満が高まっていますが、日本は燃料高が超円高で緩和された。その結果、赤字は年間6兆円のレベルで収まったのです。」(藻谷氏)
それなのに、円安誘導を仕掛ければ、とんでもないことになる。
「教科書には『円高になると、輸出は減る』と書いてありますが、数字を見れば輸出企業はまだ持ちこたえている。また仮に輸出が減っても、原材料購入費の輸入も連動して減るので貿易赤字は拡大しません。しかし円安になれば燃料輸入額は増え、ガソリンや灯油も値上がりします。円高、円安にはそれぞれメリット・デメリットがある。目下の日本では円高の方が大多数の日本国民にとってプラスです。」(藻谷氏)
安倍首相は自らの経済政策を「市場が評価した」と自画自賛しているが、韓国型の経済政策(円安誘導)ではなく、省エネ家電や再生エネルギー拡大などの内需拡大策こそが、有効なデフレ対策なのである。(以上インターネットより抜粋)
・・・という内容でした。
恐いもので、報道の雰囲気だけを読んで、円安には喜んで、貿易赤字には悲しんでいました。情報にはいつも気を付けていようと思っていたのに、流れている情報をそのまま鵜呑みにしている自分がいました。
情勢を判断するということは、何かある時に自分でちゃんと調べて判断するということ。間違っているのは空気を読んでしまって、それを情勢と勘違いしているということ。情報が入れば怪しんでその場で調べるくせをつけること。
これからの日本経済を良くするのは、今の期待感も大切ですが、建物の断熱材を変え、エネルギー効率を良くし、石油などの原材料の輸入を抑えることと、日本製品を買うということを仰っていました。
情報の受け方、鵜呑みにしないこと、自分で調べること、などもう一度自分自身の在り方を考えさせられた講演会でした。