第13回 刷版

前回はトンボについて書きましたので、今回は印刷工程の一つである、刷版について書きたいと思います。

刷版とは印刷の、製版工程の時に作られるもので、表面にはインキの付く部分とそうでない部分に分かれ、 インキの付いた部分を紙に写して印刷していきます。

刷版の種類には主に、平版・凸版・凹版・孔版の4つがあります。

  • 平版(へいはん)
    現在主流の方式で、刷版の表面に水をはじく(絵柄)部分と、水をはじかない(非絵柄)部分をつくります。印刷段階で刷版の表面に水を与えると、水をはじかない非絵柄部分のみ水分を含みます。この状態で刷版にローラーでインキをつけると、油性のインキは水をはじいた絵柄部分にのみ付着し、これをゴムの銅(ブランケット)に転写して、紙に写すという方式です。
    一般的にはオフセット印刷と同義で理解されていますが、オフセットとはインキが版からゴム版に一度転写されることを指し、本来、平版印刷と言うのが正しいようです。
  • 凸版(とっぱん)
    左右を逆にした刷版の凸部分にインキを付着させ、そのまま紙に写す印刷方式で、最も長い歴史をもち印鑑や版画なども同じ方式です。紙に直接インキを転写するため、印刷の濃度が高く、力強い印刷物に仕上がりますが、インキの乾きが遅く、アミ点がにじみやすいため、カラーの再現性が難しいという欠点があります。
  • 凹版(おうはん)
    凸版とは逆で、非画線部である凸部のインクを掻き取り凹部に溜まったインクを紙に転写する方式で、グラビア印刷がその代表です。印刷のシャープさには欠けるものの、インキの厚みで濃淡を表現するため色の階調が豊かで、カラー写真の印刷物では、 より自然な階調で再現することができます。
    刷版は電子彫刻された銅製のシリンダーを用いるため耐久性があり、大量の印刷に向いている反面、刷版・製版料金が高く、少部数の印刷では割高になります。美術書、写真集、写真を重視した雑誌、ビニール・セロファン等の非紙媒体への印刷にも使用されています。
  • 孔版(こうはん)
    版(油紙など)に微細な孔(あな)を多数開け、圧力によってそこを通過したインクを紙などに転写する方式。代表的なものにシルクスクリーン印刷があります。他の印刷法では困難な曲面印刷もでき、プラスチックやガラスなど幅広い素材に適用できます。

このように版自体にそれぞれ得手不得手があるので、特性をつかんで、 より良い印刷方式を考えていく事で、ノウハウの蓄積に役立てていきたいと思います。

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